ドラゴン・ティアーズ──龍涙

ドラゴン・ティアーズ──龍涙

ドラゴン・ティアーズ──龍涙

池袋ウェストゲートパークも9作目。随分と遠いところまで来たものだという感想。
最初のIWGPは、著者のデビューと同時で12年くらい前の作品。著者も作家として干支を一回りしたわけで、結果的に成長記録のような感じが強い。初期の池袋の街と刹那的に暮らす若者のザラッとした感触は薄れ、これから先もずっと池袋で生きていく自分や仲間達、そして街という大人の視点が増えてきた。それはそれで貴重な視点だし、だからこそ作品としての魅力はあるのだけど、それでもやっぱり初期の頃の手触りを期待してしまう自分がいる。夜の街で感じるスリル、外からやってきた人間が感じる軽い恐怖というようなものを欲しているんだと思う。